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October 19, 2004

12.労働裁判所の雰囲気

 中国シンセンで生活、仕事をしております。自分なりに”シリーズ”にてテーマを作成、気がついた点を書きとめています。今回はその第12題目として、労働裁判所について紹介します。
 ここは 雇用者と労働者の仲裁をする場所です。
 この私が以前働いていたスタッフに思いっきり直球で訴えられたのです。理由は不当な解雇という理由です。まさか中国に来て私自身が裁判所に出頭しなければならなくなるとは思っても見ませんでした。しかしこれは私にとってはいい機会を頂いたようなものです。おそらく日本人では私が第1号ではないかと思います。
 この労働裁判所というのはシンセンの各区に1箇所づつ有るようです。建物の雰囲気は裁判所というよりも日本のハローワークのような雰囲気です。大きな長いカウンターがありそこに労働者が陳情を述べたて、なにやら受け付けの女性が書きとめています。壁の掲示板には裁判判決結果が掲示されています。 目につくのは 経営者が給料を支払わないという内容が多いことに目が留まります。
 さて、私が受けた告訴状内容を紹介します。私は 一緒に働いていたスタッフに2回の警告書を発行し、即解雇しました。この方法が急進的であり不当解雇であると言う事。よって規定に基づいた保証金額を支払うべきであるという訴えでした。
 裁判経過の手順を紹介します。
 まず、会社名義で裁判所から通知がきます。この中に相手の告訴状内容があり、それに対して反論資料、証拠があれば提出するようにという書面が入っております。
 この反論資料は事前に提出するよう求められています。
 それから追って出頭日の連絡が来ます。
 裁判の経過を紹介します。
 裁判官は2人 主審と陪審?が 赤い壁(おそらく赤には意味はないのでしょうが、裁判らしくみせるためでしょう)の前に座ります。裁判官の右手側には訴えた人が、左手側に私が座ります。
 最初はそれぞれの名前の確認をします。訴えた人はどの場所で問題が発生したかを問いただします。その時に住所、社名を一字一句詳細に確認します。すこしでも違っていますと、もう一度言ってくださいと何回も言い直しを求められます。それから訴えた人の弁論が始まります。しかし、ここで、内容が理論的でないと、また裁判官は告訴人の発言が5W1Hのようになるように何回でも言い直しを求めます。この人は結局何回も私共の社名の言い直し、内容の確認をさせられ 本人もだんだんわけがわからなくなり、支離滅裂となってしまいました。代わりに訴えられた私が代弁をしてあげようかと思うほどでした。
 告訴内容が確認できたあとは今度は私の番です。これは簡単で、2回の警告書の内容、毎日の勤務成績の状況を用意した説明文、グラフを掲げながら説明して終わりました。
 この後、裁判官は両者の内容を吟味して追って連絡しますと言い、これであっけなく終了しました。
 このように 討論などはありません。これが裁判なの??と最初の気合がどこかにいってしまいました。これならばわざわざ出向くこともなく書類審査でいいのではと思うほどです。
しかし、逆に言えば私の場合は討論するほどの内容ではなかったのかも知れません。
 その後、裁判所から結果通知があり、会社が1ヶ月の給料を支払うことで和解しないかという提案があり、これを認めて終了しました。
 但しこのようにあっけなく終わることができたのは、たまたま別の目的で使用していた毎日の業務内容を示す日報のためだと判りました。この中に毎日の業務態度、姿勢を示す内容をコメントしておいたのです。これがこの人の業務態度を示す証拠となりました。それにも増して私のために沢山の資料、反論文を作成してくれたスタッフがいてくれたことはとても助けになりました。
 日本の場合は業務評価は2の次で結果さえよければOkですが、こちらに来て感じたことは人を管理することには注意深く、日ごろから準備していないと、思わぬところで足をすくわれる事態があるということです。業務評価についてだれがみても理解できる根拠、証拠がないととんでもないことになることに身を持って感じました。

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